間を編む Structure of Absence

一本の輪から始まる、細い紐の遊びがある。
交互に手を差し出し、かけ合い、ほどき、また編む。
時には合図を交わすように、時には無言のまま。
その先に現れる形は、意図されたものばかりではない。
偶然が、新しいかたちを生むこともある。
ファッションもまた、似た手つきで紡がれていく。
作り手と受け手が響き合う瞬間もあれば、
思いもよらぬ使い方によって、衣服が別の物語をまとうこともある。
また、誰かの手を離れ、次の誰かに受け継がれながら、
衣服は形を変え、生き続ける。
それは、物を大切に扱うという、日本に根付いた美意識でもある。
触れるたびに記憶を重ねながら、糸の様に静かに撚り逢わされていく。